化学系就活弱者のための就活

19卒の国立大化学系大学院生が新卒就活について思うことを書いていきたいと思います。就活強者ではなく、就活弱者の立場から書いていくつもりです。

新大学一年生向け 就職を見据えてどのように大学生活を過ごしていくか

筆者の大学の後期試験が今週終わりました。受験結果はほぼ出て、4月からの進路が決まっている人が多いでしょう。そのため、今回は将来の就職活動を見据えたときに大学生活をどのように過ごしていくかを書いていきたいと思います。

まず、就職活動においてどのような能力や素質が最も求められるでしょうか?それはコミュニケーション能力です。これは事務系、技術系、職種、業界を問わず求められます。これはラーメンで言うスープや麺だといっていいでしょう。問題解決能力、協調性、忍耐力などといった能力はラーメンのトッピングの様なものにすぎません。もちろんこういった能力も自己PRとして用いても問題ありませんが、最低限のコミュニケーション能力がなければ意味がありません。民間企業に就職して仕事をする場合、規模に関わらず、一人で仕事をすることはまれでほとんどの仕事は何人かのグループで行います。また、それぞれの部署や小集団が会社の中で独立して存在しているわけではなく、一つ一つのグループが相互的に関係しあっているため、それらとの連絡も欠かせません。また、社内ですべて完結し、原料から最終製品まで調達・製造している会社は帆のないので、社外とのやり取りも日常的にあります。このように会社では社内・社外問わず、互いにコミュニケーションしていかなければ仕事として成り立ちません。これが、企業がコミュニケーション能力を重視する理由です。

コミュニケーション能力を身につける上で重要なのはサークルやバイト先、どこでもいいのですが、自分の心の許すことができ、共通の目的をみんなで一緒に目指すコミュニティーに所属することです。目的は全国制覇といった大きなものである必要はなく。バイト先でのクレームを少なくしたり、少しでも勝率上げたりといった小さなもので構いません。一つの方向性に向かってみんなで協力して取り組めれば何でも構いません。このような組織は会社に近い構造の組織であり、こういった組織で活動することによって会社が求めているコミュニケーション能力を身に着けることができるでしょう。おすすめのサークルやアルバイトとしては野球などの団体競技を行う部活・サークルや飲食などの集団で仕事をするアルバイトです。ただし、ただ所属していればいいというわけではなく、できる限り積極的に活動していかなければなりません。具体的にはなるべくシフトを入れたり、出席したりしてできるだけ頻繁に活動することが必要です。また、参加のペースを落とさず、できるだけペースを維持しながら就職活動が本格化するまで続けるべきです。たまにしか顔を出さない状態ではどれだけ出席した時に頑張ったとしても積極的に活動したことにはならないでしょう。これは自分の能力に関わらず、自分の意志でできることであるので、最低限やるべきです。

また、おまけになりますが、レポートで論理的で伝わりやすい文章を書くことを心掛けるようにすることによってESの練習をしましょう。レポートではPREPを意識して書くと短時間ですぐにわかるレポートを書くことができます。PREPとはpoint(結論)、reason(理由)、example(例)、point(おさらいとしても結論)の頭文字を取った造語です。教授もそうですが、企業の採用担当者は限られた時間で大量の文章を読まなければならないのでまず何を一番伝えたいかの結論が最初に知りたいです。結論を示した後、その理由を示し、結論と理由が含まれるような例を示してあげたほうが一回ですんなりとはいるでしょう。

研究概要は専門外の理系に見てもらえ

多くの企業はESの提出とともにA4 1~2枚の研究概要の提出を求められるでしょう。どのように書けばいいのかわからない人も多いかもしれません。中には学会発表で事前に提出する要旨と同じように書けばいいと思っている人もいるかもしれません。しかし、それでは限られた時間の中で効果的に自分の研究をESを見る人事や面接官に伝えることがなかなかできないことがあります。学会で提出する要旨はある程度類似した研究をしている研究者やその研究に興味のある研究者はじっくりと読むことが多いですが、研究概要はむしろ知識がある人が読むことはまれである上にESと同様に大量の研究概要を限られた時間で処理しなければならないことが多いです。つまり、研究概要は専門家によるディスカッションを前提とするのではなく、専門知識がなくても短時間で自分の研究の良さがわかるようすることを前提にして書く必要があります。したがって、学会で使った要旨がそのまま就活の研究概要に使えることはまれであり、短時間で専門知識がない人でもわかりやすいように書き換える必要があると言えます。
続いてどのようにしてわかりやすい研究概要を書くかについて説明していきたいと思います。まず、研究の背景を丁寧に書きましょう。どういう製品に応用できる技術なのか、さらにそれらの製品の課題はどういうところにあり、自分の取り扱っている技術はその課題に対してどのようにアプローチできるのか、それに加え、その技術の先行研究における課題とその課題に対して自分の研究はどのようにアプローチしているかを説明していく必要があります。どういった課題が存在しており、それに対してどのようにしてアプローチしているかを掘り下げて書き、製品と自分の取り扱っている技術、自分の研究の目標の関係性が明らかになるようにする必要があります。続いて実験方法に関しては数行でかまいません。これは学会などの要旨と同じような感じでいいでしょう。ただ、自分の取り扱っている技術の具体的なイメージがわくようにわかりやすく書き、必要に応じて図なども入れていいと思います。最後に結果と考察について説明していきたいです。ここで気を付けたいのが、自分が考えて実行した手段によって先行研究や類似の研究と比べてどのような変化が見られたか、なぜ、その手段によって変化が起こったのかがわかるように説明することを意識して書くことです。ここに関しては研究の背景で述べた関係性と一貫性があるように書いていく必要があります。企業の方は必ずしも優れた研究成果を求めているわけではなく、自分の研究課題に対して自分でどのように考えて、どのようにアプローチしたのかを見ています。また、文章で長く説明するよりも図やグラフなどを多めに入れて感覚的にわかるようにするといいと思います。
また、研究概要を書き終わったら専門外の研究を行っている人に見てもらいましょう。研究室の先輩や指導教員といった自分のテーマをよく知っている人には企業の専門外の人の目線で研究概要を見ることができないからです。どのような研究室であってもその研究室の中では当たり前すぎて常識になっているけれど、専門外の方にとってはかなり理解しにくいことが多くあると思います。同じ専門の人が見るとそういったところを見落としてしまうことがありますが、専門外の人が見ればほぼ確実に引っかかって指摘するでしょう。この専門外の人が引っかかる場所をわかるように修正することによって研究概要はわかりやすくなり、評価の高い研究概要に完成するでしょう。ただし、一部の企業は専門の担当者が見るので専門外の言葉を使ってもよいといったような趣旨の注を入れていることがあります。その時は学会と同じような研究概要の書き方をすべきです。
面接時に研究内容を説明する場合も異本的には研究概要の時と同様にできるだけわかりやすく伝わりやすいようにする必要があります。これは人事が担当する一次面接や部長や課長といった現場の責任者が担当する二次面接、役員が担当する最終面接いずれの場合においても基本的には同じです。どういう製品に応用する技術なのかから始まり、一般的に用いられている技術と比較して研究室で扱っている技術はどのように優れているかを説明し、続いて自分の研究は研究室での先行研究のどこの課題を解決するのかといった流れをまず示します。研究室での先行研究の課題に対して自分がどのようにアプローチし、その結果、何が減られたのかを端的に示しましょう。この流れは研究概要の書き方と同じです。ただし、特に二次面接において学会の時の様な深堀をしてくる時がありますが、この時は学会でのプレゼンや質疑と同じように厳密に深くまで伝えるようにしましょう。
また、取り扱っている技術の原理などが口頭だけでは説明しにくい場合はパワーポイントやイラストレーターなどで図を描いて印刷したものを持参して説明するといいです。筆者の研究においてカギとなる技術は図を用いて説明しないとなかなかわかりにくいので、この方法は有効でした。
まとめとしてはできるだけ専門外の人にもわかりやすいように工夫して書き、何度も専門外の人に見てもらい修正していくことが評価の高い研究概要の作製において必要です。

意外と穴場?化学系にとっての自動車・電子部品メーカー

あまり知られていないかもしれませんが、筆者の経験上化学系の学生にとって自動車・電子部品メーカーなどの部品メーカーは意外と穴場、つまり、選考が通りやすく内定を取りやすいです。実際に筆者は京セラやデンソーTDKといった大手メーカーを含めたほとんどのメーカーでESは通りました。ES落ちは村田製作所くらいだったと思います。一方で化学メーカーは昭和電工や東ソーなど結構ES落ちしました。
このようになる秘密はこういったメーカーは化学系学生があまり受けないというところにあります。すべてのメーカーかどうかはわかりませんが、学科ごとに募集人数を決めているところが多いそうです。そのため、志望する人数が少ない分、競争相手が少なくなります。したがって、化学系にもかかわらず、部品メーカーのほうがスムーズに選考が進むという逆転現象が起こる余地が生じていると考えています。 
部品メーカーでも化学や材料の知識を生かす余地があります。例えば、電子部品大手であるTDKはIoT向けのデバイスに用いられる全固体電池の開発を行っています。また、ディスプレイやセラミックスコンデンサなどのセラミックス材料の評価といったところでも生かすことができます。さらに電子部品とは少し違いますが、半導体の重要な製造工程の一つである成膜やレジストの塗布などで化学的な知識が必要不可欠です。また、自動車部品メーカーでは自動車の内装に用いられるパーツの開発には高分子などの化学系をスキルが不可欠です。高級感のある色合いがあり、肌触りもよい内装を実現するためにはどういった材料を選んでどの様な処理を施せばいいのかということを考えるのは化学の知識が必要不可欠です。こう言った内装関係はカルソニックカンセイが強みとして持っています。また、先ほどの半導体の話とかぶりますが、デンソーなどの自動車メーカーは自動車向けのパワー半導体(直流電流を交流電流に変えたり、交流電流の周波数を変更したりといった機能を持つ半導体)を開発しています。自動車の電動化に伴い、これらのパワー半導体やさらなる軽量化のための炭素繊維強化プラスチックなどの鉄鋼に変わる材料開発の需要はさらに増えていくでしょう。そう意味では自動車部品メーカーにおける化学系学生の需要は今後増えていくと思います。
このように部品メーカーでも化学の専門知識を生かすことができます。化学系だからといって化学メーカーしか受けてはいけないというわけではありません。化学メーカーや素材メーカーばかりにこだわらず広く業界を見るのもいいでしょう。

ESの下書きはone driveを活用しよう

まず、one driveとはマイクロソフトが一般向けに提供するオンラインストレージアプリで、最近のwindowsではデフォルトで備え付けられていることが多いでしょう。似たようなものにgoogleドライブやdropboxがあります。

このアプリにwordなどを入れると自動で更新されるようになります。また、アプリをダウンロードした端末であればどんな端末からでも保存したファイルを閲覧したり、編集することができます。無料ならば5GBまで利用できます。

就職活動ではたくさんのESを書くと思いますが、wordなどに下書きしてからマイページにコピペして提出するのが一般的だと思います。one driveを利用することで下書きをしているときにPCが強制終了してしまったりといったハプニングで今まで書いていた内容が飛んでしまうという可能性を排除することができます。

就活解禁に伴い、まず書いておきたいこと

就活解禁から三日たちましたが、それに伴い、まず最初に書いておきたいことが3つかあります。
一つ目は今年も引き続き売り手市場ですが、それは全業種・全職種を平均した場合であって人気業界や企業、職種に入りやすいというわけではないということです。リクルートワークスによれば2019年度の大卒の有効求人倍率は従業員数が5,000人以上企業では0.37倍と売り手市場であるにもかかわらず過去最低となっています。
https://www.works-i.com/pdf/180426_kyujin.pdf
この倍率は転職者も含んでいる可能性もあるので新卒だけで見ればさらに低いかもしれません。筆者が知り合った方で大手電機メーカーの研究職に内定をいただいた方がいたのですが、その方が言うには研究職は募集定員に達していないらしいです。おそらくこういった大企業はバブルの時の反省を生かして人手不足だからといって無計画に採用するのではなく、きちんと候補者の適性を見極めてとるべきかどうかをよく判断しているのだと筆者は予想しています。つまり、ただ単に採用予定人数を満たすことを目的とするのではなく。自社に入って活躍できる人材ならばとるというスタンスは人手付属であっても崩していないのだと思います。
二つ目は大手就活サイトが主催する合説は参加すべきではないということです。こう言った合説はFランから東大まで非常に幅広いレベルの学生が参加するため玉石混交で非効率です。それよりも大学が主催する合説に参加すべきです。大学が主催しているのでその大学を取る意思のある企業やその大学のOB・OGがいる企業がほとんどなので圧倒的に効率がいいからです。また、中にはその会社単独で開催する説明会やOB・OGが酸化する懇親会を大学内で開く企業も多いです。こう言った機会は逃さずに参加し、積極的に質問しましょう。やはり、OB・OGの方は多かれ少なかれ自分の大学に対して思い入れ枯れ、後輩の力になりたいという意識が強いです。
三つ目は、化学系は就活のフィールドにおいては機電系の学生と比べて不利だということです。これは機電系のほうが、需要が多いからです。まず、第一に世の中にある化学系が主役である化学・素材メーカーよりも機電系が主役である機械メーカーや電子機器メーカーなどのほうが、数が多く、採用人数が多いからです。さらに化学素材メーカーであってもプラントや工場の機械などを取り扱う生産技術といった職種は機電系のほうが有利だからです。
とにかく化学系理系院生だからといって就活は余裕だとは思わず気を引き締めて就職活動に取り組んでほしいです。

このブログの説明

このブログでは根暗の就活弱者の理系院生が弱者なりにどのようにして就活を切り抜けていくか、また、就活の意義などに対していろいろ書いていきたいと思います。現役の就活生に向けた記事だけでなく、これからインターンに参加していこうという層や就活はまだまだ先といった層に向けた記事も書いていきたいと思います。また、就活に限らず、研究室での過ごし方や企業分析や技術関係の記事も書きたいなと考えています。
就活というゲームのルールではコミュニケーション能力、明るさといった体育会系や陽キャといったタイプの方々がどうしても有利になります。しかし、根暗でもなすすべがないわけではなく、超一流企業は厳しいにしても一部上場企業といったそこそこの企業に就職することは十分可能であると思います。筆者自身、連結で売り上げが1000億以上で従業員数が3000人近い一部上場企業に内定が決まっています。
このブログを通して自分と同じような根暗の人でも就活がうまくいき、自分なりに納得がいくような内定をもらってほしいなと考えています。
一応、下に筆者のスペックと就活の結果を書いておきます。

筆者のスペック
・関東地方にある某国立大学(東大や東工大などではないです)の大学院生、大学も同じ学科
・研究内容はカーボンナノチューブやナノ粒子といったナノ材料に関する研究で分野で言うと無機化学や物理化学に近い。
・TOEIC755点
・非体育会系(ただし中学時代は陸上部に所属、週末にジムでランニングはしている)
・研究室やサークル関係者以外の同じ学科の友人はなし。研究室の人とは研究室だけの関係でプライベートでのつながりはほとんどなし。
・サークル内では仲のいい友人が多かった。
・中学受験はしたが、三流中高一貫校にしか入れず。どうしても納得できなかったので、高校受験した結果、かろうじて進学校といえそうな高校に入学
・GPAは、学部時代はぎりぎり2.0行くくらい、大学院時代は3.0で人並み

就活の結果
インターンは大手自動車メーカーの4daysのインターンや大手総合化学メーカーの2daysのインターンなどに合格
・エントリーは60社くらいで受けたのは50社くらい
・ESは8割以上通過、パナソニック日産自動車など超一流企業も通過
・面接は通るのが珍しいくらい
・最終落ちは某大手電子部品メーカー、元日産系自動車部品メーカー、某大手非鉄電線メーカー
・内定をもらったのは一部上場のセラミックスなどを取り扱うb to bメーカー、大手総合電機メーカーの関連会社、技術者派遣最大手