化学系就活弱者のための就活

19卒の国立大化学系大学院生が新卒就活について思うことを書いていきたいと思います。就活強者ではなく、就活弱者の立場から書いていくつもりです。

意外と穴場?化学系にとっての自動車・電子部品メーカー

あまり知られていないかもしれませんが、筆者の経験上化学系の学生にとって自動車・電子部品メーカーなどの部品メーカーは意外と穴場、つまり、選考が通りやすく内定を取りやすいです。実際に筆者は京セラやデンソーTDKといった大手メーカーを含めたほとんどのメーカーでESは通りました。ES落ちは村田製作所くらいだったと思います。一方で化学メーカーは昭和電工や東ソーなど結構ES落ちしました。
このようになる秘密はこういったメーカーは化学系学生があまり受けないというところにあります。すべてのメーカーかどうかはわかりませんが、学科ごとに募集人数を決めているところが多いそうです。そのため、志望する人数が少ない分、競争相手が少なくなります。したがって、化学系にもかかわらず、部品メーカーのほうがスムーズに選考が進むという逆転現象が起こる余地が生じていると考えています。 
部品メーカーでも化学や材料の知識を生かす余地があります。例えば、電子部品大手であるTDKはIoT向けのデバイスに用いられる全固体電池の開発を行っています。また、ディスプレイやセラミックスコンデンサなどのセラミックス材料の評価といったところでも生かすことができます。さらに電子部品とは少し違いますが、半導体の重要な製造工程の一つである成膜やレジストの塗布などで化学的な知識が必要不可欠です。また、自動車部品メーカーでは自動車の内装に用いられるパーツの開発には高分子などの化学系をスキルが不可欠です。高級感のある色合いがあり、肌触りもよい内装を実現するためにはどういった材料を選んでどの様な処理を施せばいいのかということを考えるのは化学の知識が必要不可欠です。こう言った内装関係はカルソニックカンセイが強みとして持っています。また、先ほどの半導体の話とかぶりますが、デンソーなどの自動車メーカーは自動車向けのパワー半導体(直流電流を交流電流に変えたり、交流電流の周波数を変更したりといった機能を持つ半導体)を開発しています。自動車の電動化に伴い、これらのパワー半導体やさらなる軽量化のための炭素繊維強化プラスチックなどの鉄鋼に変わる材料開発の需要はさらに増えていくでしょう。そう意味では自動車部品メーカーにおける化学系学生の需要は今後増えていくと思います。
このように部品メーカーでも化学の専門知識を生かすことができます。化学系だからといって化学メーカーしか受けてはいけないというわけではありません。化学メーカーや素材メーカーばかりにこだわらず広く業界を見るのもいいでしょう。